大阪湾のタチウオシーズンも序盤のような誰がやってもある程度数が釣れる時期を過ぎ、まだある程度釣果は出せるものの、「相当渋くなってきたなぁ」と実感されている方も多いのではないでしょうか。
ヘタすると日によってはボウズを食らってしまった方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん技術的なことや、釣法や運によって釣果なんぞずいぶんと差が開いてしまうものなのですが、タチウオ釣りにおいて私が考える一番差の出てしまう原因である「場所ムラ」についての考え方となります。
そもそも場所ムラって?そんなもの本当にあるの?
タチウオ釣りにある程度造詣が深い方は常識レベルに存じ上げておられると思いますが、
タチウオというのは基本的には群れて行動し、そして回遊する魚種です。
その為、群れに当たらなければ何もいない海に向かって釣りをすることになり、回遊ルートから外れればどんな名人がやってもボウズに終わります。
大阪湾で伝統的に人気のあるハネやチヌなどの比較的居着く習性の強い魚においては、多少場所の良し悪しを外しても、そもそもソコにある程度居着いているものなので時期に合った適切な釣法で丁寧に釣りをすればある程度の釣果を出すことが出来ます。
が、タチウオはそうも行かず、前述の通り、群れがどれだけ目の前を通過してくれるか?が最重要ポイントとなります。
もちろん、ある程度迷子になってしまう個体もいるでしょうから、群れが回遊してこないからと言って全く釣れないわけではありませんが、目の前に1匹いるか100匹いるかでは釣果が全く変わってくるのは容易に想像出来ることかと思います。
いやいやそんなこと言ってもやっぱり実力でしょ?
私の体感的には左右100m程度の範囲であれば場所ムラについてはそう大差ないかなとは思います。と言っても結局どこかで群れが散るので左右100m以内なら同じ条件かと言うとそうじゃありません。
例えば行列の出来る飲食店で、限定数のモノは必ずどこかで売り切れてしまい、どこかで線引きされるのと同じような理屈だと理解してもらえると良いかもしれません。
で、この条件内であれば釣数においては実力がモノを言います。手返しの速さ、食わせるまでの速さ、その他モロモロの速さなど。
しかし、どんな名人でも達人でも魚のいない所に仕掛けを投入しても絶対に釣り上げることは出来ません。その逆で、魚さえいれば割と簡単に誰でも釣り上げることが出来てしまう。それがあり得るのがタチウオ釣りなのです。
ここだけ聞くとずいぶんと簡単そうな釣りに聞こえてしまいますが、条件さえ同じなら前述の”実力がモノを言う”の部分が非常に大きな差になることもタチウオ釣りの特徴なんですけどね。笑
調子良ければ数時間で数十匹という釣数になるタチウオ釣りなので、釣果が大きくなればなるほど数に開きが出やすいんですね~。
武庫川一文字を例に解説していく
文字だけで説明したのでは、いくら想像してもなかなかわかりにくい場合もあるかもしれませんので、画像と共に説明していきたいと思います。
ある程度嗜んでいる方はもう常識かと思いますのでサクサク読み進めてもらって結構です。
↓が毎年秋になるとタチウオを狙う釣り人で大賑わいになる武庫川一文字です。
全長4.4kmにも及び、数百人の釣り人が同時にタチウオを狙うことが出来る奇跡の釣り場です。
湾奥すぎず沖すぎず、潮の動きを計算して作った防波堤なのか、回遊性の強い魚の釣果が出やすい釣り場です。もちろんハネやチヌも居着いてはいますが、居着く習性の強い魚については基本的に湾奥のほうが強い傾向があるように思います。
波止からのタチウオ釣りにおける基本的な回遊の考え方
あくまで個人的な意見ですが、概ね下図のような回遊ルートとなっていると考えて間違いなさそうです。
左側が西で、右側が東となっており、この図では西側の沖からベイトなどを追いかけて、探して一文字へ向かって回遊してきます。
ちなみに、西側から回遊してくるのを例に挙げただけで、東側からも回遊してきます。
図にあるようにナナメに回遊してきて、しばらく一文字沿いを群れで行動した後、釣り人からのプレッシャーや、ベイトを食い荒らした、またはベイトが散ったことによりどこかで再度沖へ離れていきます。
この時にAのエリアにいる方はボチボチ。Bのエリアにいる方は漏れなく爆釣。Cのエリアにいる方はボウズか数匹で終わるでしょう。
この場合、Bにいるド素人と、Cにいる名人では、Bにいるド素人のほうが釣果は良くなる傾向が強いと思われます。タチウオはそこに居さえすれば比較的簡単に釣り上げることが出来る魚だと思っています。
次に、複数の群れが同時に接岸するパターン
これもよくあるパターンでしょう。ある程度魚影の濃い日などは十分にあり得ます。
下図を見てください。
AからとBからの2ルートに分かれて2つの群れが同時に接岸するパターンです。
この時Aにいる人は爆釣。Bにいる人は爆釣か大爆釣、Cにいる人はまたもボウズか数匹です。
※例にしただけの回遊ルートなのでCが爆釣することも多々あります
接岸する群れは一つだけでなく、複数で接岸してくる可能性もあります。
また、入ってくる角度も西側からくるのか東側からくるのかは殆どわかりません。そして何時に入ってくるかも誰にもわかりません。
私の感覚では、Aにいる名人と、Bにいるド素人ならAにいる名人がギリギリ釣り勝つかなぁという印象です。そこに居さえすれば比較的簡単に釣れるタチウオも、手返しや技術で釣数には圧倒的な差がでるので、いくらBの魚影が濃いと言っても、Aにもそれなりの魚影の濃さがあるので、この場合は名人には釣り勝てません。
ただし、おそらくそれなりに嗜んでいる方なら名人と同じか、釣り勝つぐらいには迫れそうです。Cにはどんな釣り人がいてもBのド素人には絶対に勝てません。タチウオ釣りとは、そういうモノなのです。
群れの回遊には例外的なパターンも存在します
私が今シーズン(2017年)に経験した稀有な例外パターンがあります。
台風後です。下図のような感じになります。
群れが散り散り、ルートもめちゃくちゃ。性格の全然違う個体同士が入り乱れて、釣れる時間、タナの深さ、誘いのスピードなど全く統一性がなく、逆に言えば何をしても釣れる状況でした。
またさらに逆に言えば、普段はパターンを素早く見抜き、徹底的にやり切る名人と言えどもこれといったパターンが存在しない為、何をしても釣れる初心者と釣数が同じような状態に陥った日がありました。
この日の釣行記があるので興味のある方は後で見てください(^^)
数釣りたい方はこんなパターンがベスト
ひたすら群れがでかくて統一感のある序盤のパターン。笑
シーズン序盤の群れの大半は小型の個体ではあるものの釣りや漁で数も抜かれていないし、ベイトを求めて入ってきているので超高活性。もちろん回遊も進めば進むほど途中で釣り人からのプレッシャーや、単純に釣られて個体が抜けるので、回遊ルートの後ろのほうが魚影は薄くなります。
この時に一番濃いエリアに居た人は1秒も休むヒマもないほど釣れ続けます。
そういう爆釣状態が長く続く時は、例に挙げただけでなく、一つの大きな群れがいくつも、何回も一文字に接岸しているような状況だと思われます。
こんな魚影の濃さは私の経験上ではワンシーズンに片手で数えるほどしかありません。
シーズンが進めばこんな状態も毎年見られます
回遊するタチウオを釣る武庫川一文字とは違い、溜まったタチウオを釣るパターン。
例に挙げるのは南港周辺の通称「Jグリーン」と呼ばれる沖堤防です。Jグリーンというサッカー施設の裏手にあるのでそう呼ばれています。
大和川河口の豊富な栄養を求めて小魚が湾奥の奥に侵入。ずーっと豊富な影響が供給され続けるのでベイトが溜まる。
ベイトが溜まったらそこにタチウオが侵入。ずーっと豊富な栄養が供給され続けるのでベイトが溜まり続け、ずーっとベイトが溜まってるのでタチウオも溜まる。そんな状況になります。
この状態はシーズン序盤並に美味しい状況で、回遊を待たずとも、常に目の前にタチウオが溜まっている状況なのでタチウオが釣れなくてお悩みの方は是非こういう釣り場を探して狙ってみてください。
ナントカ港とかナントカ埠頭とかそういう名称の場所はだいたいこういう形状になっています。もちろん釣り禁止場所ではやらないでくださいね。あとゴミは必ず持ち帰ってください。
群れの大きさにも差はあり、性格にも差がある
類は友を呼ぶというのは、タチウオにおいてもあるのかもしれません。
私の経験上では、同じ群れなら同じタナで釣れるし、同じような釣り方でいくらでも釣れます。が、ひとたび違う群れが接岸してきた時は少しパターンが変わります。
釣れるサイズであったり、釣れる時間も群れによって様々です。
群れの大きさも大きい群れ、小さい群れがあることは、ある程度タチウオ釣りをしていれば体感出来ることと思います。
シーズン序盤に接岸してきていた小型のタチウオはひとしきりベイトを食い荒らして満足したのちに外海に出ていってしまうのか?漁や釣りで個体が相当抜かれてしまうのか?シーズンが進めば進むほど、見られなくなります。海水温や、それに伴ってベイトの種類やポジションが変わり、タチウオのサイズによるベイトの偏食性もあるかもしれません。
その代わり、大きなサイズのタチウオが接岸してくるようになります。
大きなサイズのタチウオの群れというのは、群れ自体が小さいのか?数は釣れにくいですが、大きいサイズばかりで寄り集まっているのでドラゴン級のタチウオを釣り上げる絶好の機会となります。
私の経験上では、ドラゴンサイズが釣れるような群れほど小さいように感じています。
おそらくドラゴンサイズを数多く釣り上げられている方の大半も同じような感想になるのではないでしょうか。
タチウオ釣りは釣れなくても気にしない。落ち込まない。
これまでに考察、解説してきたように、タチウオ釣りにおいては場所の選択が釣果につながる要因の大半を占めていると考えています。
もちろん、釣法や技術に磨きをかけることは何においても重要なことですが。
しかしいくら技術の優れた名人であっても、釣れない場所でやっていてはいつまでたっても釣れません。結局群れが目の前を通過してくれるかどうかの運が大きく左右します。
私の場合は、数百メートル以上離れてしまったエリアの人に釣り負けてしまっても問題にしません。自分のいるエリアでどれだけ釣れたか?が重要です。もちろん私も釣り人のはしくれですから、「くっそ~あっちのほうがもっと釣れたんか~」という気持ちにはなりますよ。笑
逆に自分がいるエリア周辺だけが爆釣状態になった時は、自分の技術に思い上がり、慢心が生まれやすいので気をつけるようにしています。
ということで、多少釣れなくても落ち込まず、気に病まないようにしていて良いと私は思います(^^)
ただ、隣の釣り人に同じ釣法で3倍ぐらい差つけられて落ち込んでるとかだったらひたすら練習してください。笑
以上で、タチウオ釣りにおける一番重要な要素、場所ムラについての考察でした(^^)