昨年11月に始めた船タチウオから早10ヶ月。もうすぐ1年が経とうとしている。
始めた当初はどんどん上達するのが楽しくて、優しい船宿にも恵まれガムシャラに釣技を磨くことに没頭。
そんな船タチウオライフのさなか、時々ふと思うことがあった「ん~、ボチボチ上手くなっては来てるが一体どのぐらい上手くなったんやろう?」と。
あんまり色んな船宿に行くタイプではないし、友達も少ない根暗な陰キャ釣り人なので比較する材料にも乏しい。
それでもやっぱり「いやぁ・・・そこそこ上手くなったと思うんやけどなぁ・・どのぐらいの位置にいるんやろうな、知りたい・・」という欲求はずっとあった。
そこで今年は一念発起。
毎年秋シーズンに開催される大阪湾タチウオキングバトルに挑戦することに。
大阪湾タチウオキングバトルとは
大阪湾の船タチウオ釣りを介して交流や技術の向上、船釣りの発展を願い2013年から開催されている大阪湾の船タチウオ釣りNo1アングラーを決める大会。
予選、セミファイナル、ファイナルと勝ち抜いて最終的に最も優れたアングラーを決める。
予選は竿頭のみが通過でき、開催期間中の予選は何度でも参加出来る。
昨年度の参加者はのべ約900人で、大阪湾全体でも規模の大きな釣り大会と言える。
http://tkb.tsurisoku.com/
優勝者や上位入賞者はメーカー関係者やメディアなどで活躍する方も多く、若干メーカー対抗戦みたいな様相も見受けられるが私のようななんのしがらみも無いアマチュアが参戦しても全く問題ない。
長年船タチウオ釣りに携わる上級者の方々に船タチウオ1年生の私はどのぐらい迫れるのか?
初出場、タチウオキングバトル予選1回目「日の出丸」
初の予選会は以前お世話になった日の出丸へ。
というかこの日のために一回行っておこうかなってことで以前来てみたんだけども。
結構入り口がわかりにくかったので予選当日になってわからないじゃ困るなぁと思ってのこと。全く知らない船で釣りするのも不安が残るしね。
この日は予選会ではあるけども基本的には船宿のルール通りに集合して出船。
で、船宿のルールの中で竿頭だったら予選通過って感じね。
ただ、普段の日の出丸のように枝針とかタコベイトつけてダブルヒット狙いとかっていうのは禁止。ふつーに船タチウオテンヤ釣りのみ。
他の船宿を利用しているときもたまに見かけるタチウオキングバトルのステッカーも受付時にいただいた。
予選はエントリーという文字。準決勝はセミファイナル、決勝はファイナルってステッカーだと思われる。
何度も予選に参加出来るということは、参加すればするほどこのエントリーステッカーは増えることになる。出来れば1枚で済ませたいところだ・・・・。
釣座はトモ(最後方)、条件は悪くない。
普段は先着順の釣座ではあるが、予選会の日は抽選での釣座決め。
そして抽選はなんとトモ(最後方)をゲット。
船タチウオ釣りで最も良いと言われる釣座でもある。
最も釣れるとは限らないが、最も有利ではある。
定刻通り出船。
帰ってくるとき、同じ景色をどんな気分で見るんだろうなぁ。
ストック用のバケツ。満タンにしたいなぁ。
普段はつかわねーけど今日は頼りにしてるぜ~探見丸
糸も新品に巻き変えて準備バッチリ。
釣具屋で巻いてもらったけど、まぁまぁカウンターがズレててだいぶイラつきましたけども。
ポイント到着。最速最短、電光石火。
到着したポイントは「小島沖」。
大阪南部の方や和歌山北部の釣り人にはおなじみのとっとぱーく小島なんかがあるあたり。
このポイントに来たのは初めて。
まさかの初めてポイントに連れてこられた。笑
思ったよりも陸に近い位置で船団が出来ていて、それでも水深は普通に70mある。急深な地形してるんやね。
そして船がポジションをとって、開始の合図。
スっと船の後方に投げて、可能な限り早くフォール。
探見丸をチラっと見るも、魚らしき反応は見当たらない。
経験と勘でタチウオの居そうなタナでストップ、ゆっくり糸フケを張りながら竿をパンっと1しゃくり。
コツン・・・
コンコン・・・・ググ・・
電光石火の一匹目。
今までで一番早かったかもしれないぐらい早かった。
まだ落としてる最中の人もいるなか最速最短、名刺代わりのファーストヒット。
自分がやるならいいけど、これは他人にやられたら相当焦る。試合慣れしてない人には相当効いた先制攻撃だったと思う。
この一撃でタチウオのいるタナが一旦わかったのも大きかった、すぐに再投入しステイ。
クンっという小さいアタリを即掛けて・・・
連発で2匹目。
この時点では私以外誰も釣っていない
奇襲は成功した。
あとはいつも通りの自分を発揮して、それで勝てなければそこまでの技術しか持ち合わせてないだけのこと。
やっぱウメェじゃん。みんな。
電光石火のファーストヒットから誰もまだ釣り上げてないうちに2匹目まで釣りロケットスタート。
が、さすがにタチウオ釣り大会出ようなんて人達ばかりなのですぐに船中から電動リールの音が鳴り響く。
私が3匹目を釣ろうかという時には2匹目を釣り上げる人もいて
「おいおいバケモンかよ」
心の中でつぶやいた。
ぶっちゃけ写真を撮ってる余裕もヒマもないんだけど、せっかくの舞台なのでブログにして初心を忘れないように記録残したいなぁと。
この日は晴天。晴れ時々曇り。ほとんど太陽は隠れなかった。
日差しが強く、光量がある上に潮はスケ気味。どうやらタチウオ自体はポツポツと分布しているように感じるがいまいち反応は薄い。
私はまだなんとかポロポロと拾えているが苦戦している人はほとんど竿が曲がっていないように見える。
ライバルは真後ろにいた
実釣開始1時間。7時過ぎ。
この日、私の真後ろ(逆側のトモの人)がなかなかの腕前でこの時点では多分私が1~2匹負けているぐらいのペース。
他に見えている範囲では恐らく釣り勝っている。真後ろの人がライバルか。
何度も船を付け直してポイントを探るがやっぱりポロポロポツポツ程度。
私が拾えば後ろの人が拾い、後ろの人が拾えば私も必死に食らいつく。
大きく移動の中盤戦
6時過ぎに実釣を開始し早2時間。
探見丸には時折大きな反応が出るが魚種は不明。
この状況で中層より上ってことは恐らくタチウオではなくアジとかイワシとかそれっぽい何かだろう。でも確かめないわけにはいかない。いちいち確かめるのも時間がかかる。
この日は気候もそうだけど海も夏らしさが見られた。
指2本ないんじゃないかっていうサイズもちょろっと混じった。一匹は一匹。大事にキープ。
掛けるのは大変だけど簡単に巻き上げてこられるのですごく助かるサイズ。
時刻は8時半となり、中盤戦へ差し掛かり始めた。
普通に船を付け直すのかと思ったら大きく移動。20分近く移動。
こちらもなかなかの船団を形成中。
いつもいく船宿の船なんかも発見。なんとなく安心するね。
ラッシュ。ノーガードで殴り合う展開に
移動後でもすぐヒット。
そして開始のゴング。
移動後いきなりラッシュ開始。写真を撮るヒマが1秒もなかった。
タナもある程度決まった場所だったので見つけたらみんな早い早い・・・。
手返し体力のゴリ押しならそう負ける気しないけど、皆様勝るとも劣らない・・・・。
このラッシュは1時間ほど続き・・・・ノーガードの殴り合い。
ペースは尋常じゃなく早く、誰が抜きん出るかっていうよりは誰が脱落するか?って雰囲気のハイペース。
10時。いきなりクーラーが埋まり気味に。笑
相当手返しよく釣ったとは思うが・・・多分真後ろに人に対しては抜きつ抜かれつと言ったペースだと思われる。もしかするとこの時点では私のほうが1~2匹リードしてたかもしれない。
暑い・・・9月になったことで朝晩はひんやりするものの昼間は厳しい残暑。
暑さで言えば普通に真夏並だった。緊張とプレッシャーからか?したたる汗が止まらない。
普段はあんまり汗かかないタイプの代謝悪い人間なのに目に汗が入るほどこぼれ落ちてくる。
完全に読みきった後半戦だが・・・
時刻は10時を過ぎ、時合は落ち着いたが似たようなタナを丁寧に丁寧に探ればアタリが少し拾える。
この日の納竿は11時50分。あと2時間弱。
この暑さ、予選が一発で抜けられるかどうか?の瀬戸際にさらされ続けて体力も大幅に減少。朝食は少なかったので空腹感はあったが、何かを食べて胃腸にエネルギーを使いたくなかったので結局水分だけで過ごした。そこまで体力と集中力を釣りに注いだのは初めて。
この時一番強く思っていたことは「暑い・・・こんなツライ思い何度もしたくない。本来釣りとは楽しみながらやるものであってこんな修行じみたアスリートじみたスポ根じみたものではない・・・何度もやりたくないのでこの一回に全てを注ごう・・・」だった。
この後半戦。完全に読み切っていた。
しかし真後ろの人も同じように読み切っており、ポツポツのペースがほぼ一緒。どちらかが連続して釣ってリードを詰めるとか広げるとかいうことは全然ない。
ただ若干、私のほうが読みが上回っているっぽく、アタリは贔屓目なしで見ても私のほうが多いように感じた。そして掛ける数も。
が、
この日は船長に「今日のバラシ王は君やなアッハッハ」と言われるほどバラシが多く、11時50分納竿時点で10匹以上の掛けバラシを演じてしまっている。
また、今日は抜き上げポロリが1匹。その時は時合の最中で「あータチウオの向き微妙やけど時間惜しいし一気にいったれ!」と雑い抜き上げを試みて失敗。
「あとあとこういう一匹が効いてきたりすんのにな・・・」と思ったのを強く覚えている。
逆に、真後ろの人は掛けバラシはごく少なく、1~2匹程度だったそうだ。
そして終了時刻の11時50分間際の11時45分にも掛けバラシ。うーん・・・。
タチウオキングバトル予選第一回日の出丸 結果
結果は
1匹差で予選抜けられず。
竿頭は39匹。真後ろの人。
私は38匹。同数で長寸勝負になったら恐らく勝てていたが・・・・。
3番手で31匹。
あの抜き上げポロリ、あの掛けバラシの数々・・・どれか一つでも・・・・。
船長も帰り際「あのバラシがもう少し少なかったらダントツで抜けてたのにな」と呆れ顔。
また、この日同じエリアで操業していた遊漁船の中でも一人が30匹以上の釣果をあげた船はほとんど無い。
これが勝負の世界だし競技の世界。逆に色んなことが一気に明確になったわ
初出場の予選は一匹差で惜しくも抜けられなかった。この事実に対しては悔しいというか、もったいないというか、後悔に近い感情が最多。
逆に昨年のタチウオ甲子園波止決勝の2位とかは、それなりに自分の持てるもの全て出し切っての2位だったのであんまり悔しくなかった。
やっぱり何か消化できないものが自分の中にあるんだろう。ちゃんとやれなかった自分の未熟さ故なのは私が一番わかってる。
論語にはこう書かれている一文がある「過ちて改めざる、是れを過ちと謂う」。
過ちを改めないことが過ちなのだと。
今回のミスの数々ってのは過ちなんかじゃない、次回同じミスを繰り返すことが過ちなのだ。
また一方で、嬉しく思うことも無くはない。
以前、船タチウオ界のエース、ハヤブサの菊池氏と一緒に釣りをすることが出来たときの事。
釣りをしている時に菊池氏は私にこう言った
「そのぐらい釣れるなら十分トーナメントでも通用しますよ。予選だったらまず抜けられると思います」と。
その時に私はこう返したのを記憶している
「僕が今夢中になっているこの釣り、始めてたかだか数ヶ月の人間が簡単に予選通過出来るような、その程度のものであって欲しくはないんですよね」と。
今回の結果。全くその通りであり、「その程度」ではなかったのが殊更嬉しい。
あれほど集中して全力出し切っても1匹届かなかったのは「その程度」には程遠い厳しさ。
また、人付き合いの少ないロンリー根暗アングラーな私は知らなかったが、後に聞くところによると今回予選を通過された方は決勝の常連の方でタチウオトーナメント界隈では随分と名の知れた方だそうだ。普通の人はまず勝てないとのこと。
それもまた喜ばしい。そのぐらいの高みに達している人と1匹差で勝ち負けを演じられて、あと数回ミスが少なければというタラレバぐらいの差。個人的には負けて悔しいが客観的には悪くなさそうだ。
何より、負けた原因がハッキリしてる。ハッキリしてる分、改善も意識も楽。
予選会。あと1~2回は挑戦するつもりです・・・・。それでも抜けられなかったら一旦保留。とりあえず波止タチウオシーズンになるので波止タチウオやりつつ、合間に・・・というイメージ。