今回は初の船タチウオテンヤ釣り。
私の「幸い中の不幸」もしくは「贅沢な悩み」として、波止からタチウオを狙えば一般的な釣り人よりもタチウオが比較的釣れてしまうことが挙げられる。
その為、船でのタチウオ釣りに全くと言って良いほど興味がなかった。
わざわざ船に乗らんでも釣れるから。身も蓋もないが正味の話、そんな風に考えているような人はやらんほうが良いかもしれない。
船タチウオ釣りについての葛藤
「タチウオって波止からでも釣れるやん?わざわざ船乗る?」
「いやいや船のほうが大きいのん釣れるやん?波止でペラペラの釣ってもさあ?」
などなど。けんけんがくがく。
これについては色んな意見や考え方があろうかと思う。
前提として前置いておくと、船タチウオを否定するものではなくただの葛藤。
魚種は同じであっても釣り方が違えば楽しみ方が違うという王道の考え方や、船でやると大きいサイズも出やすいなどなど。
前者で言えばいかなる魚種であっても釣果に結びつきやすい釣法を採用する方針の私としては船でも波止でも釣れるほうを優先。船のほうが手堅いのであれば船に乗るが、今年は波止でもずっと釣れてしまっている。
後者で言えば確かにそう。船でやれば大きいサイズは出やすい。これは傾向というよりもはや常識レベル。
ただ、その「船に乗れば」の点がちょっと引っかからないでも無い。波止や沖堤防でもドラゴンと言われるサイズは稀に釣れる。
仮に船に乗ってドラゴンを仕留めたとして、「船に乗ったからドラゴンが釣れた」という事実に心から喜べるのか?
実力は当然必要であるとしても船のおかげという側面は少なからずある。それもまた事実だ。
「楽しいやん!」は全ての理屈を超える
そんな風に常々考えていたこともあり、「いつか機会があれば船テンヤに手を出してみても良いけど、いつかね。いつか。」と思っていたところ
釣り友F氏から「船タチウオテンヤ行こうぜ!」との強めのお誘い。
他に一緒に行く人が居ないんなら付き合っても良いかなぁと思ったが、聞くところによると何人かで出船するとのことだった。
「それ、別に俺行かんくて良くない?船のタチウオってさぁ云々」と返答したところ、、、
「なんで?みんなで行ったほうが楽しいやん!」
という全ての理屈を超越したリア充な返しに全く言い返すことが出来ず参加が決定。
私のような理屈っぽい人間は、別角度から考えもしなかった発想で一刀両断されると意外と簡単にK.Oされてしまう。
私、F氏、Nしゃん氏、S村氏の4名でタチウオテンヤ釣行となった。
初の船タチウオテンヤ釣りは湊丸BAY
なんやかんや理屈は置いといて、やるとなったらきちんと準備はする。
使えるようにしとこう☺️ pic.twitter.com/evW3KjXAk9
— kon (@hane_tsuri) October 29, 2018
船用のテンヤの他、一応専用の竿も準備した。
11月某日、初の船タチウオ釣りに挑戦。出船は岡田浦漁港より出船の湊丸BAYにお世話になることに。
なったのだが
この日は同行者の1人、S村氏が予約を取っておいてくれたはず
だったのだが
S村氏曰く、予約したのに予約を忘れられていた?らしく?
出船場所に到着するも船がなく、受付へ電話して急遽仕立ててもらうこととなった。
予約を忘れるなんてことがあるのだろうか?真相はいまだに謎のまま。
これにより、この時点では元々3%ぐらいしかなかったモチベーションも1%ぐらいに低下。
帰って良いよと言われたら即決で帰れそうな心境だったが私も大人なので無言で我慢。
何時に出船できるか当初はわからなかったが小一時間程度待機していると、湊丸BAYが急遽到着し1時間遅れの出船となった。
様子から察するにどちらが悪かったということも無さそうではあるが、トラブルが起こると基本的にはどちらも得しないことのほうが多いので出来るだけ未然に防ぎたいし穏便に済ませたいものである。
初めてお世話になる船だが、船タチウオ界隈では常識レベルの人気船のようで、よく整備された清潔で広々とした船内はそれだけで好感が持てる。
今回は湊丸BAYという船だったが、湊丸という船の方はもう少し大きい船らしくさらに広々とした船でタチウオ釣りが楽しめるとのこと。機会があればそちらもお世話になってみたい。
岡田浦を出港し、小一時間。
ポイントは船タチウオ釣りではお馴染みの洲本沖。
今シーズンは基本的に残念な釣果が続いていた船タチウオ釣りもここ1~2週間ほどは安定した釣果で連日爆釣状態が続いているそうだ。気候や水温も安定していて餌となる小魚のポジションなども大きく変わらなければ比較的釣果も安定しやすいのだろう。
本当に良いタイミングで初挑戦することが出来た。
初の船タチウオテンヤに挑むタックルはコチラ。
シマノサーベルマスターにオシアコンクエストCTのセット。
※タックル詳細は記事最後にて。
船タチウオテンヤと言えば電動リールが主流ではあるが、今後継続してやるかどうかわからない釣りの為にいきなり電動リールを用意するのはさすがに出来なかったので普段オフショアジギングで使用しているオシアコンクエストCTを使用。
デジタルカウンター付きなのでレンジ把握が重要なこの釣りにも持ってこい。
何かとPEラインが減ってしまいがちな釣りでもあるので、PE2号が300m以上巻けるラインキャパもバッチリ。
竿については、当初ちょっと硬めのスロー系ジギング竿を流用しようかと思っていたが、船タチウオテンヤ独特のアタリなどを存分に楽しみたいという考えからエントリークラスのロッドを準備した。
船タチウオテンヤ実釣開始
ポイントに到着し、「準備出来たら開始してくださーい」との船長から合図。
湊丸では乗船料金に餌&氷が含まれているようで冷凍のイワシが使い放題。
これは頼もしい。
テンヤにくるくるーっとイワシを巻き付けてとりあえず投入。
なにぶん、やったことのない釣りだが
「多分やり方が違うだけでやってることは同じ」だろうと当初から考えていたので
普段の「横の釣り」を縦にして考えて誘っては止め、誘っては止め、潮を意識しつつ・・・
コツっ・・・コツコツ・・・と何かがバイト。
ポンっという軽く持ち上げたアタリをアワセて・・・・フッキング!
一投目で。
で、釣ったタチウオはシメてバケツに放り込んでいく方式らしい。
普段の波止タチウオならクーラーボックスにぶち込んでいくだけで動作がちょっと違うと新鮮な気持ちになる。不思議なもんだ。
普段の波止釣りと違い、餌はイワシなのですぐにボロボロになる。
この日、何度ドジョウの偉大さを思い知らされたことか。
イワシの場合ちょっとアタリがあっただけですぐにボロボロで使い物にならなくなる。
この日、最初に使用していたテンヤはハヤブサから新発売となっているタングステンのタチウオテンヤ。4,000円以上もする高額なテンヤではあるが一体どんな感じなんだろう?と気になってしまい1個だけ買ってしまった。私は釣りも好きだが釣具も好きなタイプ。
この日は2枚潮がキツく、上と下が真逆に動く状況。
テンヤがかなり落ちにくいがタングステン製のテンヤだったことも幸いしたか、他者よりはまだ比較的マシな落とし込みが出来ているように感じた。
この落ち方に4000円以上の価値を見いだせるかどうか?なんだろうなぁ。
洲本沖のタチウオ。おもいのほか順調に。
2投で2匹。
実力が云々っていうより、ただただ単純に時期が良いだけなのは初挑戦の私でもわかる。
私もF氏もどんどん連続で釣り上げることが出来る。
Nしゃん氏、S村氏は多少出遅れてしまったものの、小一時間もする頃にはペースアップ。少しずつ数も上乗せ出来てきた。
3投で3匹。この後6投目まで連発。7投目スカ。8投目ゲットという状況。
到着してすぐの何回かの流しでは連発状態だったものの、数時間が経過する頃には落ち着き、
多少はアタリが遠のく場面や時間帯も訪れるが、丁寧にやれば船中誰かにはポツリポツリと拾うことが出来た。
船でのタチウオ釣りは波止よりもサイズええんやろ?
私はタチウオ釣りを始めてから何度も聞いた。
「船で釣れるタチウオは波止よりも大きい。太い」と。
しかしどうだろう。
ここまで実際釣ってみると波止から釣れるサイズとそう大差ないように感じる。
何より今回、指2本台サイズはほとんどすべてリリースしているが、「こんなにタチウオリリースしたことないわ」と思えるほどリリースしちゃっている。
しかしながら、確かにメーターオーバーの混じる確率は高そうで、船中でもF氏なんかはすでにメーターオーバーを仕留めている。
これが沖堤防なんかだったら数十匹仕留めてやっと1匹混じるかどうかって所だ。やはり大物は混じりやすいように思える。
ただ、アベレージはそんなにゴリ押しして言うほどの差はないように感じられる。
また、太さに関しては深場から一気に釣り上げる為、胃袋が大きく膨張してしまい波止から釣るタチウオよりも腹部分が遥かに太くなってしまう。これはちょっとズルイ。笑
ここで今回は「船タチウオは大物が釣れる」を実際に体感するため、タチウオ専用スケールや
シマノのドラゴンタチウオメジャーなどを船でお借りして準備。
120cm以上がシマノ公認のドラゴン認定サイズ。
そうそう。ドラゴンってのは120cm以上からやね。
指何本以上がドラゴンとかだと曖昧だし、メーターオーバーからだっていうと簡単すぎる。
120センチ以上がドラゴン。これは私も同意見。
シマノでは現在「ドラゴンタチウオダービー」というイベントを開催中で
120センチ以上のドラゴンタチウオを釣ると船宿から認定ステッカーがもらえるという。
これは欲しい
と前々からちょっと思っていたので、密かに狙っていた。
運良く湊丸はこのイベントに参加している船なのでこの船で120cm以上を釣り上げればステッカーがもらえる。
120センチ以上のタチウオ。私は釣ったことがない。お恥ずかしい話、最大サイズは110センチ台止まり。
今までタチウオなんて1,000を超える数を釣ってきているが全て波止から。
船のほうが大きいタチウオが釣れるっていうんなら、このぐらいの記録は簡単に超えてきてほしい所ではある。そのぐらいじゃないと値打ちがない。そう言い切れる。
逆に、1,000を超えるタチウオを釣り上げても出したことのないタチウオが、たったの一回で超えることが出来るんだったら?
それはもちろん大いに値打ちのある釣りであると言える。
出るかドラゴンタチウオ
アタリも遠のいてきた正午過ぎ。
基本的には午前便なのでそろそろ納竿の時間も近付いてきた。
きつかった2枚潮は全く緩まないまま少し深さのあるエリアまで船を流し、それまで平均50m程度だった水深のエリアから一気に80m程度のエリアまで。
2枚潮のせいでPEラインは90m程度出てしまう。
船長の「あげてくださーい」の合図で数十メートルも巻き取らなければならない。
確かにこれは電動リールが欲しくなる。
手巻きリールは手巻きならではの良さがあるが、この釣りに関して言えば電動リールに分がありそうだ。
回収の合図と共に一気にリールを手動で巻き上げる。オシアコンクエストCTの示したカウントは85m。
一気に全てを全力で巻き取るだけの体力握力は残っていないので、40数メートルの所で一瞬一休み。少しだけ巻き取るスピードを緩めた。
その瞬間。
ぐぐぐぐぐ・・・・
穂先を大きく締め込む重み
「お?なんか、なんか知らんけど乗ったぞ。笑」
経験上、この乗り方は絶対に針掛かりが浅い。
サイズは大きそう。慎重に慎重に。
やり取りの最中少しドラグを緩め、やり取りしつつ抜き上げの角度と場所を何度か確認しつつ・・・
浮かせたところを一瞬でリーダー手繰って、一発で抜き上げ
抜き上げ直後にフックオフ。やはり針掛かりは紙一重。
船のデッキに転がるソイツ。
出た
出よったで
いってもうてるやん
文句無しで
もらったよー!!!!!
たったの一回で、波止からの千を超える釣果の最大サイズを超えてしまった。
やはり船でのタチウオ釣りは大物が釣れやすいと言える。身をもって体感。
この時使用したテンヤのフックは外向きに大きく広がってしまっていた。
いやーアブナイ。
クーラーボックスに入れると他のタチウオとは大きさが一目瞭然。
明らかに存在感が違う。笑
残り時間は十数分あったのであと数回は投入出来そうだったものの、ここで満足したのでキリ良く納竿。
数にこだわる意味がない釣行だったので大きいの釣れた時点で達成感でいっぱい。
湊丸BAYにて初の船タチウオテンヤ釣行。感想など
多少トラブルがあったものの、終わりよければ全て良しといった感じの釣行となった。
基本的には数も上がっていたし、みんなメーターオーバーを仕留めることが出来ていたこともあり皆満足げな表情だった。
特に私においてはたったの一回で初のドラゴン(120cm)を仕留めることが出来てしまった。
冒頭で記したように、「船に乗ったから釣れた」のはもはや明確であり、異論を挟む余地は無い。
それをどう受け取るか感じるかは本人次第。
何よりF氏の「みんなで行ったほうが楽しいやん!」に込められた「楽しむ」というシンプルであり一番大事にしたい部分の前では船だの波止だのと言ったクラスタ分けは何の意味も持たず、無粋だろう。
船は船、波止は波止。どちらも楽しみ方は十人十色。
行った甲斐があったと思える、そして大事なことにも気付かされる思い出深い釣行になった。
今回の使用タックル
ロッド:SHIMANO SABER MASTER TENYA 82MH180
リール:SHIMANO オシアコンクエストCT 300HG
道糸:YGK G-soul スーパージグマンX8 PE2号
リーダー:サンライン SYSTEM SHOCK LEADER FC 70lb.