第一回タチウオ甲子園。
第一回となるこのイベントは波止部門と船部門それぞれ個人戦数の部、ペア幅の部で開催された。
今回私がエントリーしたのは波止部門の個人戦、数の部。
戦いの舞台は関西タチウオ釣りの聖地、武庫川一文字。
個人戦数の部では「釣り方はなんでもOKとにかく沢山釣った人が優勝」という無差別級アルティメットルールで争われる。
ペア幅の部は二人一組で釣ったタチウオの幅で勝敗を決めるルールなので誰が優勝するかわからない運要素が多分に含まれているものの、数の部となると運が入り込む余地は塵一つ程も無い。
これまで、タチウオ釣り大会と言えば一部のルアーメーカーや釣具店が主催することはあったもののメーカー縛りや釣り方縛りなどがあり、「波止タチウオ釣りで本当にNO.1は誰なんだ?」を決めるには説得力に乏しい側面があった。
しかし今回、多くのタチウオアングラーが長年疑問に抱いていた「No.1は誰だ?」が決まる日を迎えた。
2018年11月11日。決勝戦。
予選二日目をギリギリでなんとかかんとか通過した私も今回この決勝戦に参加。
のべ500名の予選を勝ち抜いた個人戦数の部15名、ペア幅の部15組30名、計45名のファイナリストが揃った。
タチウオ甲子園 決勝戦の舞台は武庫川一文字
この日のスケジュールは14時半迄に集合、14時半に釣り座抽選。15時頃の渡船で参加者が全員渡提し、16時頃一斉に開始、19時45分頃に納竿とし20時頃の便で帰着、そこから検寸検量という流れ。
見聞きした範囲では遅刻者や欠席者などはおらずスムーズに渡提することが出来た。
この日の参加者はお互いに会話をしたことはないものの、顔も名前も一致する人が多い。
そのぐらいこの界隈では名前も顔も知れている人だらけの第一回タチウオ甲子園。
個人戦数の部では名手、名人、達人などなど色んな呼ばれ方をしている一流タチウオアングラーが勢揃い。
みんな釣りが上手いオーラ出しすぎなのでもう少し抑えていただきたい。
S級妖怪をぎっしり乗せた関西中のタチウオが震え上がりそうなメンバーで一斉に渡提。
大会エリアは武庫川一文字の6番~6番西(西端)迄。
大会エリアなので、日曜というのに1人の釣り人もいない武庫川一文字の6番。
これからS級妖怪達で埋まるとは思えない静けさ。
釣座抽選ではクジ運悪く・・・?
釣座抽選では30組中23番という遅めのクジをひいてしまった私。
まぁでもよく考えると後から選べると思えばそう悪くもないか・・・?
一番に選んだところで大差もなさそうやし・・・?よくわからん。
渡提後、クジ順に各々好きな釣座を選べることとなっていたが、皆あまり迷わずに6番船着き場から近い順にどんどん釣り座を構えていく。
釣座が全く空いていないのでどんどん西端へおいやられていき、ほぼほぼ最西エリアで釣座を構えた。
これが良いんだか悪いんだかもさっぱりわからない。
この日は若干西風(横風)ではあったものの、普通に釣りをする分には全く問題なく、決勝まで進んだアングラー達なので多少の横風であっても糸フケが飛んでくるとか、真っ直ぐ投げられなくてオマツリするなどのトラブルは一切無縁の日だった。
タチウオ甲子園決勝。戦いの火蓋は切って落とされた
16時になり、タチウオ甲子園決勝戦。
戦いの火蓋が切って落とされた。
まずはいつも通り、Sサイズのテンヤで実釣開始。
写真で見るととても試合で今から使うとは思えない雑いくくり方のテンヤ。笑
テンヤサイズについては、ここ1週間ほどはこれまでのパターンから少し違った雰囲気だけど基本的にはいつもこのテンヤのSサイズから始めるので、リズムを作る意味でも。
まずは内向きからスタート。基本的には外向きで釣りをする目線なのだけどシーズン的にはそろそろ内向きXデーが到来してもおかしくないので「もしかして内向きのが釣れるかも?」と、釣りをしながらモヤモヤすると精神衛生上よろしくないかなと思い、まずは内向きを潰すことに。
ま、案の定数投してみても気配なさそうだったのですぐに見切って外向きに変更。
※まぁまぁ必死だったんで釣り中の写真はほぼ無し。
いきなり・・・?トップスタート?
外向きで投げ始めてから数投。
時刻はまだ16時過ぎ。
プルンっ
というアタリ。
慌てていたのか冷静さを欠いていたのかちょっと強めにアワセてしまい、空振り。
まだ周りの誰も反応がない状態だったので、はたから見れば「ウソアワセ」にしか見えないだろう。
なんのアタリだったかな?とテンヤを確認するも、ドジョウは無傷。
が、リーダーを見ると、ガッツリと傷がついている。
「おるなぁ」
この日は日差しも強く、光量があったのでアタリが出始めるとしたら17時過ぎて日没後からだろうなと思っていたがチャンスがないわけでもないらしい。
私のウソアワセじみた動作を見た周囲はともかく、釣座が離れている人にはまだ気取られていないはず。
いきなりトップギアでじっくりとネチネチ攻めること10数分。
ピっ
と穂先を微かに揺らすアタリを捉えて・・・・
フッキング
するも空振り
するも、再度誘って誘って・・・・
フワっ
追い食いを捉えて今度こそガッツリ
目視出来る範囲ではトップスタートを切ることが出来たようだ。
誰よりも先に釣るとリズムが出来てさらにノれる。
数投後2匹目。
3匹目を釣るあたりになると日は暮れ17時過ぎ頃に。
その頃には1匹目を釣る人の姿も見られ始めた。
そして私はその時に気づいた。
リーダーに装着しているケミホタルを光らせ忘れていることに。笑
光ってりゃー良いってもんでもないので光らせなかったのが良かったのかもしれないが、それならケミホタル自体付いてないほうが良いのでどっちにしろ凡ミス。
しかしこの凡ミスで「冷静なつもりでいたけど、それなりに緊張しとったんやなぁ」と我に返ることが出来た。
ケミホタルを装着したまま光らせ忘れるなんて今まで一度も無かったのに。笑
痛恨のフックオフと無駄ドラゴン
17時を回り、ほんの少し活性があがったのか私はポツリポツリとタチウオを拾っていく。
そんな中、掛けたタチウオを寄せてくる最中「重いなぁ・・・引きは弱いから、これはぐるんぐるん回転しながら寄って来てんな。掛かり所が横面なんやろな」と薄々感じながらリールを巻く。
「こういうのは途中で外れる時あんねんなぁ、でも時間惜しいしゆっくり巻いてられへん・・・」と考え無理には巻かないものの、それなりの強さで巻き上げてくると・・・
はい当然フックオフ
「こういう1匹が後悔したりするんよなぁ・・・はぁ・・。」
後悔は先に立たないし、外れるもんは外れるのでいちいち凹んでいたらキリがない。
これまで何度も同じ場面に遭遇してきているので、やってしまったことは仕方がない無かったものとして片付ける。すぐに挽回すれば良いだけのこと。
無かったことにして淡々と継続・・・するも・・・・。
数釣りゃー良いって日に限って無駄にメーターオーバーが混じる。
抜き上げに苦労するので本当心臓に悪い。
この日はメーターオーバーが2匹も混じる始末。60cm台のペラペラで良いんだよ・・・・。
ちなみに数釣りしたい日のこういうメーターオーバーなタチウオを私は心の中で「無駄ドラゴン」と呼んでいる。
渋いのか・・・?わからん
時刻は18時前頃。
私の体感で言えば二桁にはやっと手が届いたぐらい。
見える範囲では同じペースで釣っている人は1人も居無さそう。
だがわからない。この日の釣座は武庫川一文字のド級名手達とは離れた釣座。信じられないハイペースで釣ってるに違いない・・・。
「恥かかん程度には釣ってると思うけど、多分優勝ペースではない気がする・・・。それにしても周り全然釣れてへんな・・・渋いんか・・・?」
見える範囲と自分の差が結構あるように感じられたので渋いんだか自分が釣れてるんだか全くわからない。
ド級名手達の経過もわからないから余計に気味が悪い。
18時過ぎ。このタチウオを最後に、再びタチウオを拾うことは出来なかった。
ベタ凪の武庫川一文字。引き出しは全部開けた
潮はほぼ動かず、風は微風。
あまりにも風が吹かないので当初夜は寒いだろうと思っていたのにむしろちょっと蒸し暑いぐらい。あまりに風が弱いので羽虫の類もちょろちょろ飛んでくるレベル。
最後に釣り上げてからは自分の持っている引き出しは全て開けきって、あの手この手やったことないセッティングから王道の攻め方までじっくり全部吐き出しが、アタリらしきものが1~2回あった程度で技術だけでどうにか出来るような状況ではなかったように思える。
普段なら数回程度は訪れる衝突事故的なアタリも無かった。そこらへんの運には恵まれなかったなぁ。
19時40分頃納竿。いざ検量へ
可能な限り出し切った19時40分頃納竿。
あと5分竿出せたけども、いかんせん釣座が船着き場まで遠いので気持ち早めに帰着の準備を。
この日は西宮の花火大会も催されており、タチウオ甲子園決勝のフィナーレに華を添えてくれた。
タチウオ甲子園決勝 個人戦数の部 結果
検量の様子。
全力を出し切った結果を互いに称え合う姿が見られた。
緊張から解き放たれてやけにテンション高い人、疲れ果てて座り込んでる人、結果が思わしくなかったのか渋い表情の人、みなそれぞれ違った思いを抱いていることだろう。
これまでこれだけの名手名人が同じ条件の中、勢揃いで釣りをすることなど過去一度も無かったのでお互いに「結局誰が一番上手いの?」という謎は誰にもわからなかったが今回のタチウオ甲子園で白日の下となった。自分自身の現在地も明白に。
結果は、
個人戦数の部 第2位。
1位とは1匹差で惜しくも優勝を逃してしまった。
いや、逃したというのは語弊があるかもしれない。
1匹1匹の大切さ、重要さは十分にわかった上で挑んだ試合だったので、「1位を逃した」と言うよりは「2位になることが出来た」と言うほうが実情に近いように思える。
私と言えば普段は緊張しいなので試合とかになると弱いタイプなのだけど、今回はただのダークホース的な扱いだったのと、今シーズンはド級名人とはまだだいぶ差がありそうな気がしていたので結構気楽に臨めたのが功を奏したのかもしれない。
まぁそれでもケミホタル光らせ忘れるとかいう凡ミスもあったけど。
もちろん「あの時のバラシ、あの時間帯でもう少し・・・」など、運も味方についたならばワンチャンスあったかもしれない。
しかし実際には十分運も味方についた上での2位かもしれない。勝負事にたらればは禁物であり、勝負なのだから結果は何も言わずに受け止めなければならない。
悔しくないと言えば嘘になるが「今、自分が何番手の釣り人なのか?」がハッキリしたことで、勝敗はともかく今は大変清々しい気持ちでもある。
タチウオ甲子園決勝戦あとがき
今回のタチウオ甲子園を予選~決勝まで戦ってみての感想など。
まずはタチウオ釣りを愛する全ての釣り人の為、今回のような素晴らしいイベントを主催していただいたサンスポ関西。
素晴らしい舞台を整えてくださった武庫川渡船及び、イベントを応援してくださった協賛各社には感謝の思いです。
第一回ということで色々とトライ&エラー、試行錯誤を重ねながらの進行だったとは思いますが、個人的にも全体的にも第一回とは思えないほど刺激的なイベントであったように感じられます。
まだまだ改善する余地は残されていますが今後回を重ねるごとに伝統と歴史のあるイベントになっていくことを願っています。
さて、個人的な反省としては・・・。
ん~・・・。まぁ、欲を言えば優勝したかったけども、直前に全然練習しなかったことや自分の勝負弱さなんかを差し引いて考えると2位ならむしろ出来過ぎかもしれんなぁ・・・とか思ったり思わなかったり。笑
とりあえず今シーズンの波止タチウオ釣りがこれで一段落したってことで、なんかホっとしたなぁ~ってのが今の気分。
なんとなくまだ釣り足りない気持ちは残っているものの他の釣りが早くやりたくて仕方なくなっているので今シーズンの波止タチウオはもしかしてこれで終了かも・・・?わかんね。笑
とりあえず、ほんとお疲れ様でした。
今回の使用タックル
ロッド:DAIWA モアザンエキスパート87ML
リール:SHIMANO 18ステラC3000XG
道糸:YGK G-soul upgrade X8 1.2号
リーダー:サンライン システムショックリーダー70lb.
テンヤ:DAIWA 快適波止タチウオテンヤ
他にもタチウオ釣りシリーズがあるので興味のある方はどうぞ(^^)