今シーズンも気が早い人はそろそろ太刀魚を求めて色んなエリアに出撃されているかと思います(^^)
私ももうそろそろ本当どこかに調査しに行かねばと思っているのですが暑さでイモっております(^_^;)
いつでもタチウオ釣りには行けるように準備だけはしているんですが、ケミホタルを用意している時にふと思いついたので、今回はタチウオ釣りの定番釣具のケミホタルについて私なりの考察と経験上からのまとめを書くことにしました。
ケミホタルとはなんぞや
私の環境では皆さん「ケミホタル」と呼ぶ方が多数派ですが厳密には株式会社ルミカの商品名です。
http://www.fishing-lumica.com/product/kemi75/
この道具に明確な正式名称は定まっていないようですが一般的には「サイリューム」や「ケミカルライト」と呼称されることのほうが多いようです。さらに厳密にはサイリュームすら商品名のようです。笑
まぁ、いずれにせよケミホタルと呼ぶのは釣り人ぐらいかなと思います。笑
基本的には大きさが違うだけでアイドルファンなどがコンサートで振り回すアレと同じものですね。
触れなくてもいいんですけどね。一応こういうちょっとした知識も入れておくことで理解が深まりますんでね。一応。
波止からのタチウオ釣りにケミホタルは常識
で、そのケミホタルですが波止タチウオ釣りでは定番のウキ釣り、ガチの人がやる引き釣り、オシャレにダート釣法(ワインド)など全てのタチウオ釣りで大半の方が使用されています。
当たり前であり常識であり、必要なものとされています。
だがちょっと待って欲しい。
当たり前のことをそのまますんなり受け入れず、まずはなぜ必要なのか、本当に必要なのか?をキチンと自分で納得することが大事ではないかと私はそう思うのです。
これはケミホタルだけに限らず、全ての釣具において重要なことだと考えています。
ケミホタルを使用する理由
まずは一般的に語られるケミホタルの必要性について書き連ねていきます。
私の主観だけでなく多くの方がそう思ってるだろうという点を中心に。
ケミホタルを使うことで視認性の向上
タチウオが云々ということを置いといて、夜間の釣りになるので仕掛け自体に発光体が付いていると仕掛けがどこに飛んでいったのかなど視認性が向上します。
この点については明確にメリットと言える部分ではないかと思います。
ウキ釣りであれば電気ウキがあるので大丈夫ですが、引き釣りやダート釣法なんかだと発光体がついてなかったらどこに飛んでいったか全くわかりませんからね(^_^;)
単純に、仕掛けがどこにあるか容易にわかることで自分や他人にとっての安全にも繋がりますね。
タチウオは光るものが好きらしい
まず挙げられるのはタチウオはどうやら光るものが好きらしく、ケミホタルがあることでルアーや餌に反応するんだそうです。
これについてはタチウオに聞いたことある人は恐らく一人もいないと思うので推測の域を出ない話ですが、「タチウオは光ってるものが好き」ということだけは当然、当たり前、常識ぐらいの論調が多数派を占めています。
光の反射が好きなのか、本体自体が発光しているものが好きなのかまで言及している資料を見たことがないのでそこの検証はすっぽり抜け落ちているような気がしないでもありません。
メタルジグなんかでは、グロー(発光)系カラーをゼブラ柄で配置することでタチウオ専用として販売するメーカーも多く、そのメーカー関係者がメディアでは口々に「この発光がタチウオに効く」と断言されておられます。
私は天邪鬼なので聞けば聞くほど疑ってしまいますが。笑
タチウオは光に寄ってくるらしい
「光っているものが好き」に近いですが、タチウオの餌となる魚で実際に光っているなんて一握りしか存在しませんので、ルアーや餌自体が光っていることの有効性については懐疑的な姿勢の私ですが、「光に寄ってくるらしい」については肯定的な姿勢です。
昨シーズンの話ですが、珍しく水族館での太刀魚展示を見ることができました。タチウオはそもそも生きて捕獲することが難しい上に大して強くもないので展示にかなり不向きな魚です。
貴重な機会を逃すまいと、実際に見た時に一番感じたことが「水槽内の照明に寄っている」ことでした。殆ど全ての個体が水槽上部に設置された照明に向いていました。
こちらはその時に撮影した写真です。
もともと立って泳ぐので、上部に照明が設置してあったら全部そっちのほう向くに決まってるやん!と突っ込まれそうですが、写真を見る限り明らかに照明に寄ってますね(^^)
また、昨シーズン、不運にも水中集魚灯を持ち込んでいる大学生とおぼしきグループの隣の釣座になってしまいウキ釣りに危うく釣り負けそうになったことがありました。
その日は活性が極めて低く、アタリもポツポツしか拾えない状況で他のウキ釣りの方は軒並みボウズの中、そのグループは集魚灯周辺でウキ釣りを展開し数匹のタチウオを釣ることに成功しているようでした。大変騒がしく迷惑だったのでよく覚えています(^_^;) 集魚灯が効いたのかそのグループの中に上手い人がいたのかは定かではありません。
ということで、何が何でも光に寄ってくるとか絶対的な有効性まではわかりませんが、光に寄ってくる習性自体はあるのではないかなという印象です。
ついでなので水中集魚灯の使用についても言及しておきます。
有効かそうでないかに関わらず周りに釣り人が多い状況でなら使用しないべきだと私は考えます。使うなってことではなく、使わないほうが色々と無難だよ~って温度感ですが。
これは単純な話で、「集魚灯があることで魚が散る」と考える人も相当数おられるので、その人からすると邪魔をされている以外のナニモノでもないわけですね。
また、「集魚灯なんか使って自分だけ良ければそれでええんか」的な事を考える人もいるでしょう。もはや「他人の迷惑を考えない自己中集魚灯マンvs他の人には釣らせたくない器小さいマン」の釣り場最底辺決定戦の様相かもしれません(^^)
まぁとにかくトラブルの元にもなりかねませんので水中集魚灯については、「釣り人の多い場所」では使わないほうが無難でありマナーかなと思います(^^)
本当にケミホタルは必要なのか?
本当に必要か?と問われるとまだ確実なことは言えないのではないかと私は思います。
実際にタチウオを狙う人の大半が、ケミホタルって本当に必要か?と問われて明確に答えることが出来る人なんているのだろうかという印象です。
「ケミホタルがなんか効くって聞いたし。」程度の感覚の方が大半ではないでしょうか。私もいまだにそんな感じではあります。笑
ちょっと違う視点で考えてみることにしましょう。
夜間帯でのダート釣法(ワインド)と引き釣りの釣果差
波止でのタチウオ釣りは朝マズメにしろ夕マズメにしろ辺りが暗いタイミングでやることが殆どです。
私の体感として、タチウオの活性が通常並と仮定し、日没目近や日の入り直後などのまだ少し明るさが残る状態では釣り人に技術差が無ければダート釣法と引き釣りで釣果の差はそこまで生まれません。いやむしろ少し明るさが残っている状態ならダート釣法のほうが少し釣り勝つ時すらあります。
しかし、完全に日が暮れて辺りは真っ暗、もちろん海中も真っ暗になるとダート釣法はアタリが遠のきますが、引き釣りは釣れ続けることが度々あります。
もちろんルアーと生餌の差は埋められないほど差がありますが、日没前は大差なく釣れていたのに、日没後に差が生まれるのはルアーと生餌だけの差ではないように感じています。
「日没前には普通に釣れていたのに暗くなったら途端にアタリが止まる」現象はダート釣法をたしなんでいる方なら誰しも経験したことのあることではないでしょうか。
これはもう単純にケミホタルの差ではないかと私は感じています。
まだ明るいうちはダートの早い動きも見えているタチウオも暗くなったら追い切れなくなり、ケミホタルのついている遅い動きの引き釣りテンヤなら追えるのでそちらに口を使うという単純な図式かと思われます。ダート釣法でも暗くなったら「ケミチューン」と言ってワーム内部に小さいケミホタルを差し込んだりするんですがちょっと光量不足感は否めませんね(^_^;)
引き釣りやウキ釣りであれば明るいケミホタルがついていて視認性も高いので「まずタチウオがケミホタルを見つける → ケミホタルの近くにある餌を見つける → 餌を食う」と、まぁこんな感じでほぼ間違いないでしょう。
外部の研究資料を読む
この記事を書く前から存在は知っていたのですがケミホタルというか、タチウオに対して照明の有用性のようなものについての資料がありましたので引用させていただきたいと思います。
元々はタチウオの漁具や漁については調べていたところたまたま見つけた資料です。
曳き縄漁の資料
引用元:LED集魚灯を活用したタチウオ曳き縄漁業の操業指針
http://www.pref.tokushima.jp/_files/00240291/led.pdf
徳島県立農林水産総合技術支援センター水産研究所という施設が漁業者向けに発行した資料のようです。
ざっくり言うとタチウオ漁の定番漁の曳き縄漁でのLED集魚灯を使うとメリット多いよ~って話のように見えました。私は。
曳き縄漁というのは普段我々が波止からやっているタチウオ釣りの仕掛けを大規模にしたもので何十本何百本という針を船から下ろしてタチウオを釣るというもののようです。
餌もサンマの切り身なんかを使うようで、波止からのタチウオ釣りとなんら変わらないもののようです。
正直埋もれさせておくには勿体無い資料のような気がしたので紹介しておきます。
気になる中身と、注目したい点を引用、抜粋
今回の話題的に抜粋したい箇所をピックアップして引用、抜粋して考察していきます。
項1~2は概要や前提などを説明しており、資料の有用性の裏付け情報となっているので読み飛ばしても大丈夫ですが読んでおいたほうが理解は深まりますね。
タチウオの光に対する反応
項3でタチウオの光に対する反応について言及しています。
私も前述した通り、タチウオは光に対して反応するようです。
ただし、反応するだけで、それが良いのか悪いのかまでは私にもわかりませんし、資料に記載もありません。寄ってくることだけは間違いなさそうです。もちろん個体差もあるとは思います。
LEDを使用したとき使用しなかった時の差
項5ではLEDを使用した時としなかった時の比較が検証されています。
1曳航あたりの漁獲漁で比較がされていますが、「1曳航」という単位がよくわかりません。1日あたりの漁のことを指すのか、港から出て漁場で一回りしてくることを指すのか・・・。LED有りで平均16.7尾とのことなので恐らく一回りのことだと思いますが・・・。
結果は豊漁時、不漁時などの例外を除いて通常時は殆どがLED集魚灯有りのほうが漁獲漁が多い結果となっています。
豊漁時には集魚灯の効果が現れにくいとはっきり注釈されているので、活性が高い場合や魚影が濃い時には集魚灯など無くてもタチウオのほうから餌を見つけてくれるということなのでしょう。
逆に不漁時には集魚灯があろうがなかろうがそもそも口を使わないし魚影が薄いから全然見つけてもらえないってことでしょうね。
LEDの近い針でよく釣れる
項5最後のほうで「釣り針の位置と漁獲の関係」の箇所にある「総じてLEDに近い釣り針でよく釣れる」と記載されています。
ウキ釣りや引き釣りだと「やっぱケミホタルつけてるほうがなんとなく釣れる気がするわ~」とは違い、ワンシーズンに何千匹もタチウオを獲る漁での検証なのでこれは相当信頼のおける情報かなと私は思います。
ついでに「船に近い釣針でよく釣れる」との記載がありますが、これは仕掛けの構造上、理屈上そうなっているだけな気がするので私は気に留めていません。
LEDの色による漁獲量の差について
項6の「LED集魚灯の色による影響」では色の違いで漁獲量に差は出るのか?を検証しておられます。
資料内では色の違いによる影響は明らかに出来なかったとありますが、朝マズメでは赤色のLEDが比較的効果が高い場合が見られたようです。10回程度の検証のようなので少しサンプルが少ない気はしますが、逆に言えば「少なくとも朝マズメでは赤色が悪くない」とも言えるでしょう。
LEDと従来の白熱球での漁獲量の差
項8ではLEDと白熱球での漁獲差の調査結果が記載されています。
ハッキリと差は見られなかったとの記載があります。
タチウオには集魚灯の効果はあるものの、LEDか白熱球では差がないということですね。
「タチウオにLEDが効く!」みたいな売り文句は基本的にウソとおぼえておきましょう。
資料の感想
大変貴重な資料であり、丁寧にまとめておられます。さすが研究所と名のつく施設だけあると言えます。
いずれの検証にしてもサンプルとなる日数が少ないことは少し気になる点ではありますが、当ブログのような「なんとなく感」よりも十分に信頼のおけるものであると言えますね。笑
素晴らしい資料を公開されておられる研究所には賞賛を惜しみません。
徳島県のタチウオはブランドモノですしね。とても有益なことですね。
タチウオ釣りにおけるケミホタルの必要性ついて私なりの結論
今一度読み返してみて、「よくもまぁケミホタルひとつでこんなに長々と熱くなれるな、このド変態」というのが第一印象です。
話を戻しまして、タチウオ釣りにおけるケミホタルの必要性ですが
私の結論としては「必要」です!
資料が云々とか以前に、そりゃもう当たり前ですよね。笑
不要なものだったら何千人ものタチウオファンがもう既に見切り付けてるって話です。笑
私なりの理由としては「ケミホタルがあったほうが釣れる」ということではなく「視認性の点で確実にあったほうが良いし、習性に対してあっても問題ない」と感じたからです。
逆に無いほうが良い場合を考えた時に、ほとんど想定できなかったというのも理由に挙げられます。
ケミホタルの形状や大きさ、色の違いでの優劣についてはまだまだ検証や考察が必要な部分だと思われますが、仕掛けに発光体を付ける行為自体はタチウオ釣りにおいては「ケミホタルを着けたほうが少なくともメリットのほうが上回る」という結論に至りました(^^)
これからは自信をもってケミホタルを仕掛けに装着したいと思います!
他にもタチウオ釣りシリーズ記事があるので興味のある方はどうぞ(^^)