リール屋ピカレスクでのオーバーホール体験記その2に続いて、その3です。今回が最終章となります。
その2はこちらとなるので先にお読みください(^^)
2018年7月追記:新しい記事をUPしました
ピカレスクを一旦後にした私が向かった先は
隣で奥様が切り盛りしておられるお好み焼きの「Sパラ」。徒歩5秒。笑
前章で、訳ありで朝食を抜いたと書いたが、そのワケとはここのお好み焼きも是非レポートしなければいけないと考えていたからだ。笑
ちなみにピカレスクで持ち込みオーバーホールしたお客さんはお会計が5%オフになります。
恐る恐る店に入り、好きな所座って良いと言われたので、奥様の目の前のカウンター席に陣取った。16時半頃だったということもあり客は私一人。
11時~20時まで営業しており、途中一旦閉めるとかもないそうだ。
メニューがこちら。安い。
空腹だったので全部入りの「デラックス玉」をオーダー。
↓生地を鉄板に乗せたところ。ここからびっくりするぐらい具を乗せていきます。具がのったところ写真撮るの忘れてましたスミマセン。
はい完成!!デラックス玉!!
しっかりと生地に味がついており牛すじの味と相まって、ソース無しでも食えるんじゃねーの?って味付け。よくあるソースの味しかしないじゃんっていうお好み焼きとは比べ物にならん。美味い。
それもそのはず、この地で12年営業しておられるそうで、修行時代も合わせれば20年以上お好み焼き一筋とのこと。
ちなみに牛すじは全て和牛のものを使用しているのだそう。なので「どて焼き」なんかも人気らしい。奥様曰く「お好み焼き屋がお好み焼き、焼きそば美味いんは当たり前。サイドメニューも美味くないと。」とのこと。店主さんもこだわり強いけど奥様もこの道の職人なのだ。
ちなみに白ご飯は柔らかめだったので一緒に頼む人はご注意を!私は硬めが好きです!
空腹だった私はお好み焼きを一気に平らげ少しの間奥様と雑談をし、気付くと小一時間が経過していた。お会計を済ませすぐにピカレスクへ戻る。徒歩5秒。
再びピカレスクへ戻る
店へ戻ると残っていた2機も終了しており、店主はすでに違うリールの作業に取り掛かっていた。
ABUのオールドリールで、メンテナンス中。必要とあらば電動工具なども使って徹底的にメンテナンスをするみたい。
作業の邪魔をしては悪いので、精算を済ませてピカレスクを後にすることに。
わざわざお店の前まで見送ってくださった。とっつきにくいと思った最初の印象はもう完全に無く、むしろひどくお人好しとさえ思えるようになった。
末永くお店を続けて欲しいと願わずにはいられない。
今回のオーバーホール料金は
メンテナンスが完了した7機のリールがこちら!
別に外側は磨いてないけど、心なしか輝いて見える。笑
今回は7機も持ち込んだにも関わらず、全て当日中に済ませることが出来た。
店主曰くこれは珍しいパターンで、私がマメに洗ったりグリス差したりしていたことからか、内部に錆びや固着などが全く無く、通常のオーバーホールとベアリング交換だけで済んだからのようで、普通なら1日にここまで済ませられないのだそう。
気になる7機合計のオーバーホール料金は・・・・
30,100円!
7機合計で!1機あたり4,300円!安いっっ!!!!!
しかもこれ、ベアリングの交換やチューニングもやってもらってこの値段。
店主、値段間違えてないよね!?!?
さらに、たった1日で済んで、作業を見学まで出来てこの値段である。
安すぎやしないか。
ちなみにLB付きスピニングは特別に値段が高く、基本的に1機4500円取っているとのこと。
この7機をメーカーオーバーホールに出したら2ヶ月かかって65,000円ってとこかな。笑
オーバーホールが終わった7機の感想
帰宅し、仕上がったリールを1機1機確認していく。
素晴らしい仕上がりの一言。
シャーシャー音が大きくなってきていたLB付きスピニングリールは新品のときのようなヌルっとした巻き心地になり、スプールが勢い良くブルンブルン回る。
特筆すべきはベイトリール。12アンタレスなんか一生回ってんじゃねーかってぐらいずっとスプールが回転する。チューニングしたヘチ釣り用のタイコリール並だ。アンタレスの性能を最大限にまで引き上げてもらっている。
特別なチューニングを施してもらったスコーピオンも耳を澄まさないとわからないレベルの静音性を手に入れ回転性能も飛躍的にアップ。普段はあまりバス釣りしないが早く使いたくなってしまった。秋になったら琵琶湖で是非使ってみよう。
今回のオーバーホールは本当にやってよかったと心から思っており、来年もまた別機などをお願いできたらと考えている。
リール屋ピカレスクでの持ち込みオーバーホール体験記は以上ですが、作業中に色んなお話が聞けたのでそちらもまとめて掲載しておきます。
ピカレスクの店主に色々聞いてみた
最初はとっつきにくそうだった店主も話をうかがっていくうちに、聞けばなんでも教えてくれて、とっつきにくい所か、むしろ気さくな人なんじゃないかとすら思えてきました。
気持ちよく色々答えていただきました。
店名の由来は?
ピカレスクは造語などではなくスペイン語。悪者のようなイメージの言葉だそう。表面的には悪いことをしているのだけど本質的には良いことをするダークヒーローのようなイメージが込められている。また、リールオーバーホール専門などと謳わず、リール屋という何屋かわかりにくい単語に入れたのはあえて胡散臭さを強調したかった為だそうだ。
定休日以外に突然休みとかあるの?
創業以来、突然休んだことは一度も無いとのこと。店の用事で途中抜けることはあるが営業日は基本的に必ず営業しているとのこと。
オーバーホールって洗浄と組み上げのみ?
店主曰く、オーバーホールとは、分解 洗浄 組み上げと「調整」までやってオーバーホールと言うそうだ。ネジの締め具合一つでリールの調子が変わるので、そこまで徹底的にやってオーバーホールと初めて言えるとのこと。
なんで見学OKなの?
「見せられない理由が無いから」「逆に見せられない理由って何?見れない所は、見られちゃまずいもんでもあるから見せられないんでしょ笑」ということでした。かっこいい。
1日に何台ぐらい作業してるの?
10台するのはまず無理とのこと。また作業中「1台1台丁寧にやりたい」と何度も言っておられ、「急ぐのは嫌」とも言い切っていました。急いでなくても尋常じゃなく早いのでご安心を。
今回私は7機を一気にやっていただけたが、状態が良かったのでたまたま。まずこんな事はないそうです。
ベアリング全部盛り可能?
フルベアリングチューンは全く問題なく可能。ただし効果があるのかは懐疑的の様子。なんでもベアリング化すれば良いってもんでも無いそうだ。ベアリング化すればそれだけ錆びたりするリスクも増大するとのこと。
依頼で一番多い機種なに?
ちょっと思い出し笑いをしながら「オシアジガー」もしくは「リョウガ」とのこと。
3日作業したら絶対に混じってくるらしい。そのぐらいその2機種のシェアは高いんでしょう。
マグオイルも大丈夫?
マグオイルも常備。足すのも抜くのも自由自在。ちなみに店主的にはマグシールドにそこまで否定的な意見はもっておらず、悪くはないのだけど、効果は限定的かなとのこと。
ちなみにシマノのコアプロテクトに関しても聞いてみたが、「どれのこと?」という反応だった。その程度のものらしい。
店主おすすめのリールは?
ざっくりとした質問でしたが即答で「ジリオン。しかもマグシールド前のやつ。あれを超えるリールは無い。他に挙げるとするならばメタニウム。」とのこと。毎日毎日リールをオーバーホールしているプロの意見なので参考になりますね。
持ち込み修理可能って珍しいですよね?
街の自転車修理屋さんのようなイメージでやりたいとのこと。「自転車屋ってその場で修理してくれるでしょ?」と。
「直接持ってきてもらって、やっときますんでお帰りくださいなんて言えない」ということでした。
自分で出来るようになりたい
まれに自分でもオーバーホール出来るようになりたいという方がいらっしゃるようで。
「別になんでも教えるよ」とのこと。ただ大半の方が「やっぱ無理」となるそうです。笑
フィッシングショーとか行くの?
業者日に行くそうです。笑
お客さんの反応で手応え感じる瞬間は?
仕上がったばかりのリールを手に取ったお客さんが「早く投げたい」と言ってくれた時は手応えを感じるそうです。あの無重力のようなベイトリールさわったら誰でも早く投げたくなりますけどね。
そういえばリールメンテナンス専門店って珍しいですよね
あんま無いけどあるにはあるそうで、一応ある程度は把握しているそう。
大阪のメンテナンス業者だとホープさんというお店は店主も認める実力のお店だそうです。
その他特記事項
今回のピカレスクへのオーバーホール依頼で他に気付いたことや思ったことなどをサラっと。
ベアリング代が安い
ベアリング交換代を実費でしか請求しておらず、ネット通販などでよくあるベアリングをメインに扱う小売店より明らかに安い。消費税も込み。
社外カスタム品がついてても出来る
通常、メーカーへオーバーホールを出す場合、社外のカスタム品がついているとオーバーホールが出来ないので自分で組み戻す必要があるが、ピカレスクの場合は関係ないので社外品を付けたまま堂々とオーバーホール出来る。
返送の際は宅配センターまで直接持っていく為、送料が100円安い
ピカレスクではお客さんへ商品を返送する際、配送センターまで直接持っていくそうで、送料が100円引きになる。お客さんの負担を少しでも減らしたいのだそうだ。
遠方からも持ち込み客が来る
お好み焼き屋「Sパラ」の奥様の話によると遠方の岡山や名古屋からも持ち込みのお客さんが来ることもあるそうです。
5周年で料金改定の可能性あり
料金のことについて色々お話をうかがっている流れで、2017年9月に5周年を迎えるとのことで、そのタイミングで料金改定が行われる可能性を示唆していました。
元々の料金が安価なので値上げになったとしてもメーカーオーバーホールよりは遥かに安いと思われるが、予めご理解ください。
店主はお客さんファーストだが
料金をはじめ、お客さんの手元に商品が返送されるまで、あらゆる所にお客さんファーストな心配りを見せてくれる店主だが、無理なものは無理とはっきり言うし、柔らかく言うことで伝わりにくくなることを避けてあえてハッキリ言うようにしている印象を受けた。恐らく物事を構造的に理解する事が早い方で、そこまで考えて言葉を選んでいるように感じた。多少物言いがキツイと感じたとしても、それはお客さんを思ってのこととお察しください。
リール屋ピカレスクでのオーバーホール体験記あとがき
結論としては、依頼して本当に良かったと感じていて、直接持ち込みが可能であれば是非直接足を運んでいただいて、是非お好み焼きに舌鼓を打ってもらえればと思います。
日々のリールメンテナンスは自分で多少出来たとしても、完全に分解するオーバーホールはなかなか身近なものとは言えず、メーカーにオーバーホールを出すのはとても面倒ですね。
それを目近でやってもらえて解説まで丁寧にしていただける。これがどれほど釣り人にとって貴重な体験となるか。私はピカピカに仕上がった自分のリールを初めて回したとき、感動を禁じえませんでした。
この記事をご覧の方で、もし手元に数ヶ月使用する予定は無いけど、使う時期が来たらよく使うリールがあれば、ピカピカにグリスアップされ最大限まで性能を引き出されたそのリールの姿を想像してみてください。